2024年レポート

第14巻2号の内容(RESEARCH REVIEW VOL14 NO2)

研究報告「マイナポータルと医療情報」の解説

医療のデジタル化という医療Dxが進展しています。その一環として、入院の電子カルテの情報が全国の医療機関で本人の同意のもとに閲覧できるようになる予定です。また、かかった医療費や電子カルテの一部の情報(患者サマリーという)がマイナポータルから閲覧できるようになります。すでに医療費に関するデータはマイナポータルで閲覧可能ですが、電子カルテの情報は次年度2025年4月から8月までにシステムが開発される予定です。全てが実現すれば、個人の医療情報がスマホのマイナポータルのサイトから簡単に閲覧できる状態がおとずれます。すなわち医療情報が身近に存在する状況になります。国民の医療におけるエンゲージメント(疾病の理解、医師の説明の理解度、医療医の満足度、治療成績などが向上すること)が向上すると国は期待しています。医療Dxもマイナポータルも、今後も新たな目標が設定され、国民の健康に寄与することが考えられます。これらの進展を保険業界のみならず国民もウォッチしていくべきでしょう。

第14巻2号 RR2024Vol14No2

 

第14巻1号の内容(RESEARCH REVIEW VOL14 NO1)

研究報告「医療DXと民間保険」の解説

本報告は、2024年1月の生保経営誌に掲載された論文「医療DXとデジタルヘルスケア」からの抜粋で、国の医療DX推進の概要と民間の動向に焦点を当てています。現在、日本では医療DX(デジタルトランスフォーメーション)が急務の課題となっており、政府と私企業が協力して推進されています。国の基本政策は、①全国医療情報のプラットフォーム構築、②電子カルテの標準化および③診療報酬改定のDX推進ですが、最も重要なのは①の施策です。これにより、医療関連情報が集約され、個々の国民がデータを活用できるようになると期待されています。具体的には、医療・介護情報や検診予防データの集約により、全国規模での疾病罹患率や予後のデータが分析され、公衆衛生に寄与することが期待されます。また、個々の国民が自身の医療情報をマイナポータルから確認できるようになり、自分の医療データが身近に存在することになります。また、医療DXの進展により保険業界にも多大な影響が及ぶことが予想され、商品のリニューアルや約款の変更が求められる可能性もあります。民間レベルでも医療DXが進んでおり、ICTやAI技術を応用した医療DXが進展しています。オンライン診療対応システムや自動問診システムなどが登場しています。当然AIに関連したリスクが伴うため、保険業界もこれらの変革に対応する必要があります。現在国内外でAIの安全性についての議論が進んでおり、経済産業省に新設される「AIセーフティーインスティテュート」がその一翼を担うことが期待されています。

総じて、医療DXの進展は社会全体に大きな変革をもたらす可能性があり、保険業界も注視していく必要があると考えます。 

第14巻1号 RR2024Vol14No1