無催告失効と復活

重要な無催告失効についての最高裁判決判決が、2012年3月16日に下されました。この裁判は約款の失効規定が妥当かどうかが争点で、保険会社の当事者はソニー生命です。

  保険の約款では、一定期間の間に保険料の払い込みをいただかないと一律失効となります。したがって、その後の保障が得られないことになり契約者にとっては大変不利益な状況になります。また契約加入してから年数を経ている場合には、健康状態も悪化して復活(一般には失効後1年間または3年間に申し出ることにより失効した契約を審査することにより有効な契約に戻す手続きのことです)することもできないことがあります。

  再度述べますが、払込み猶予期間(本来保険料を払い込みすべき約束の日時から一定期間)に保険料の払い込みがなければ、一律失効となる約款の規定が妥当どうかについての争点になっていました。

 保険会社の主な主張は以下のとおりです。

 ①約款に猶予期間という契約者にとって有利な規定を設定している。

 ②具体的な約款の規定はないが、「失効するので保険料を払ってください」との督促や注意喚起をしている。

という意見を申し立て、約款の失効規定は妥当であると主張しています。

結果として判決は、

 基本的に約款の失効規定は妥当であると判断し再度審理をしなおすように高等裁判所へ差し戻しています。

これに対して反対意見を述べた裁判官もいます。この裁判官は保険会社の言い分を全面的に認めず、督促通知の運行を確実にするために約款への規定化を提言しています。詳細は、判例が公開されていますのでそちらを参照してみてください。

さて、重要なことは判決から保険会社は宿題をいただいたようです。

 今回の最高裁の判断で重要なのは、このような失効規定の約款を妥当とするためには、失効しないように保険会社が、契約者へ注意喚起や失効規定があることを周知するような案内を十分すべきだということです。そこで十分な対応をしなければならないわけですが、どの程度の対応が十分なのかについては最高裁判所は判断を下していません。今後の各社の対応という宿題を保険会社に与えたようです。