保険会社は、よく契約者の公平性という表現を用いて説明をすることがあります。
例えば
・契約申込者に対して、条件付与する時や契約を見合わせていただく時に
・加入後、告知義務違反が判明して契約を解除(保険会社側から契約を打ち切り)される時に
保険会社に問い合わせをしてみてください。
何故解除なのか、何故条件付なのかを口頭による回答にしろ文書での回答にしろ、契約者の公平性のためですといった返答があるはずです。
したがって、保険会社にとって加入申込者のあなたのことよりも、またあなたが納得していなくても契約者の公平性を守ることが重要なことなのです。勿論契約を申し込んでいただいたあなたは、保険会社にとって顧客として重要であることにはかわりありません。
ですから、契約者の公平性について理解していただく必要があるわけです。
さて、契約のプロセスを考えて見ましょう。ある人が契約の申し込みをする場合
パンフレットや申し込み書を手に取り、申込書に記入し、契約を申し込むことは全ての人に可能です。つまり申し込みの公平性は確保されています(一部、認知症の方や未成年者および反社会的な方には制限があります)。
一方、申し込んだ方全てが、契約できるわけではありません。加入の公平性は確保されていません。無条件で加入できる強制保険である社会保険(雇用保険、健康保険、公的介護保険など)とは異なるところです。保険会社は、契約の加入・保守管理・給付の各プロセスの中で契約者の公平性を守っているのです。すなわち、契約に加入できた方の公平性を守っているのです。
では、なぜ加入した方の公平性を守らなくてはならないのでしょうか。あるいは、加入した方の公平性とは何でしょうか。これのためには、民間保険の仕組みを理解していただくことがあります。
死亡保険を例にすると、死亡されたときにご遺族に保険金が支払われます。この保険金は、死亡保険の契約に加入した方々の保険料から支払われます。保険料は、どれだけの方が死亡されるのか、予定された死亡数にしたがって、逆算されて保険料が決まっているわけです。保険料は予測に基づいて計算されているわけです。加入申込者の中で、保険料で予定した死亡率の範囲から外れる方は、加入できないことになります。これにより加入している方の死亡率が均質性になり保険料に見合っていることなります。これが、契約者の公平性ということです。
契約者の公平性は、民間保険の仕組みそのものということになります。契約者の公平性が保たれなければ保険会社の経営ができないということになります。契約者の公平性は、言い換えれば数理的公平性で、これをチェックする仕組みが危険選択になるわけです。