保険料の内わけ

 

保険料の内訳と認可に関する概略を示す表

金融庁認可部分 

純保険料 

 貯蓄部分
死亡などの保障部分

 会社ごとに自由

 付加保険料

 事務経費
(契約の保守管理費用
手数料など新契約取得費用)

 

死亡保険では、死亡を保障する保険料(危険保険料:純保険料から貯蓄部部分を際し引いた保険料)は標準生命表(死亡率の基礎データ)を全ての会社で使用するため差異はありません。一方、自由度の高い付加保険料は、会社により異なるため、見かけの保険料(営業保険料)が異なることになります。

付加保険料は、営業職員の飲み食い代だと表現されることはありますが、それだけではなく契約を健全に維持するための契約の保守管理費用が含まれていますので一定額を消費者に負担していただくのは仕方がありません。会社の努力の度合いにより上下する部分で もあります。

最近では、ネットだけで保険を募集するネット生保と呼ばれる会社が出現し、付加保険料の手数料部分のコストを削減している会社も出現しています(ネット生保もメリットはありますが、メリット以外の問題もあるため、ネット生保と営業職員制度の比較は別途行います)。

さて、手数料を含め営業保険料が安いほど、消費者は購入しやすいですが、一方保険募集人は手数料が高いほど販売に力が入るわけです。したがって、消費者と保険販売の募集人の利害が必ずしも一致しないことになります。(ブローカー制度や乗合代理店の問題は、別途解説したいと思います。)

また、高額の死亡保障を販売する場合には、加入される方の厳密な健康審査費用がかかるので、そのような高額商品を販売する保険会社は高コスト体質にならざるを得ません。

なお、死亡保険では、様々な割引制度があります。保険料収納が簡便な契約に対する割引、高額契約に対する割引など注意しておく必要があります。中でも最も割引が大きいのが健康体割引(優良体割引 prefered risk coverと呼ばれ 代表的な商品は非喫煙割引です)となります。

欧米では非喫煙割引はよく普及しています。日本では保険会社から、喫煙者と非喫煙者の死亡率差の統計は公表されていませんが、常識的に差があることはよく知られています。これだけ、たばこ税が高くなっても喫煙している人々は常習性があり、いわゆるヘビースモーカーですから、非喫煙者割引よりも喫煙者割増保険料の導入が、妥当かもしれません。健康体保険は、別途研究テーマとして取り上げる予定で、報告書がまとまれば、リサーチレビューで報告してまいります。

第三分野商品は、純保険料も付加保険料も会社によって異なります。しかし、死亡保険に比較すると小口の保障となるため、元々の保険料が低い世界での差異の話になります。

いずれにせよ、保険期間により保険料が異なること、年齢が上がれば保険料が高くなること、契約の更新では一般に保険料が上がることなどは当然のことです。

男女別保険料と男女同等保険料については、既に死亡保険においては標準生命表以前の全会社生命表使用時代に遡って男女別の料率が使用されてきています。第三分野商品では、会社により、また商品により男女別保険料と男女同等保険料はまちまちです。一般に男女同等保険料は、女子からすると割高保険料で、男性からすると割引保険料となっています(年金保険は逆です)。

最近欧州を中心に男女別保険料の男女差別問題が指摘されており、男女別保険料の導入は世界的潮流と反することになるかもしれませんので、当研究所でも注意して観察していくこととしています。

なお、保険料のうちわけは複雑で、開示になじまない部分もありますが、保険会社の透明性や説明責任の観点で社会から開示要求があることも事実です。

また、保険に関する学者の間では、手数料部分の開示と募集体制の管理について諸外国制度を参考にしつつ開示のあり方について議論されています。