平成23年度レポート

平成23年リサーチレビュー

第1巻第7号の内容

  1. 保険の履行期
  2. 消費者向け研究報告解説

皆さんは、一体保険金・給付金を請求したら何日で指定口座に入金されるのかご存知でしたか。基本的には、5営業日以内です。約款では、5営業日以内と約束されています。給付金を急いで受給する必要がある場合はそれほど多いわけではありませんが、給付金の入金確認ができれば皆さん一安心されます。保険会社は各社とも支払いサービスの向上を目指して保険金・給付金の支払いをできる限り早くお支払いすることを目指していますが、5営業日以内に支払えば約款上は妥当とされています。これ以上の日数支払いに掛かるようでは問題ですので、遅れた場合は遅延利息を支払うことになります。請求から支払までの期間を計測する決め事は細かく規定されていますが、その解説は省略いたします。一般の方にとって重要なのは5営業日ということです。しかし、報告書にあるとおり保険金・給付金請求に関しては、調査が必要になるケースもあるわけですから、調査の内容によっては45日あるいは90日以上の日数が必要になることがありますが、約款には、調査に掛かる手間に合わせて支払期日が決められています。これらの日数を難しい用語ですが「履行期」と呼んでいます。したがって決められた履行期の日数以上に支払いに手間取った場合は遅延利息も支払われることになるわけです。なかなか、給付金が支払われない場合は、当然不安になるはずですが調査が必要な場合であっても、保険会社は一定期間内に保険金・給付金を支払わなくてはなりません。実際、保険金支払実務を行っていると、医療機関が調査に対して非協力的であることも見受けられます。このような場合、支払の決定が遅れてしまいますので、保険金・給付金の請求者から医療機関へ協力していただけるように働きかけをしていただくことが重要です。支払いの各プロセスは、約款に沿ったお客様との約束事を忠実に実現するためのプロセスでもあります。迅速な支払には、保険会社とお客様双方の協力なくしては、成り立ちません。

第1巻第7号 RR2011VOL1NO7.pdf 2011年第1巻第7号

 

第1巻第6号の内容

  1.  ①医療保険における入院給付金不払いについて
  2.  ②消費者向け研究報告解説

一般の消費者の方は、民間の医療保険に加入されると入院した日数に比例して給付金を受け取れるものだと当然思われていることでしょう。販売されている医療保険によって給付の上限が異なりますが、限度を超えなければ原則入院日数に応じた給付金を受け取ることができます。ところが、入院したにもかかわらず給付金が支払われないことがあります。1)検査などの治療を目的としない入院 2)契約する前から通院されていたご病気による入院など(専門的には契約前発病の場合)の場合です。2)については、発病の解釈を巡って保険会社と加入者の間で争いになることもあり、消費者団体からも厳しい指摘が保険会社に投げられています。この点は、リサーチレビュー2011 Vol1No3に最近の保険会社の取り組みをレポートしていますので、ご希望があれば、研究所へメールで依頼いただければレポートを送付させていただきます。さて、今回のレポートは、上記の1)や2)のようなケースではなく、明らかに医学的に不要な入院が存在する問題です。入院された患者と医療機関の問題、これを取り巻く医療保険制度の問題についてレポートでは解説しています。その詳細は専門的になりますが、俗に社会的入院といわれる入院の必要性が希薄な場合から入院中に飲酒やギャンブルするための外出を頻回に繰り返されている入院など様々なケースが見られます。医療は、科学的にまた善意で提供されているはずであると多くの方が思っていらっしゃるでしょう。しかし、保険会社の請求の個別ケースを見てみますと、このような理解を考え直さざるを得ないことがあるのも事実です。このようなケースに給付することは、多くの方から保険料をお預かりして公正、公平に運用しなくてはならない保険会社にとって容認できないことになり給付金の不払いという不幸な結果につながります。 「給付金の不払い」という語句の響きは、保険会社のミス、保険会社が過剰に利益を追求する表れなどと受け取られ易いですが、多くの消費者に知られていない入院の実態が存在するのも事実です。今後、具体的事例についても報告していく予定です。

第1巻第6号 RR2011VOL1NO6.pdf 2011年第1巻第6号

 

第1巻第5号の内容

  1.  ①現物給付と付帯サービス
  2.  ②消費者向け研究報告解説

多くの方は、クレジットカードや自動車保険などの各種付帯サービス(ホテルやレストラン料金の割引や引越料金の優遇あるいはロードサービスの無料利用など)が付加されていることは、ご存知でしょう。同様に保険加入しますとクレジットカードと同じような付帯サービスが利用できる生命保険会社が増えています。これらのサービスは、現金である「保険金や給付金の支払いと異なり現物サービスになります。

損害保険会社は自動車修理のような現物サービスが可能ですが、生命保険会社では現物サービス(現物給付)は認められていません。この点は、損害保険会社と大きく異なります。最近は高齢社会となって老人ホームの入居金が話題になっています。もし、生命保険の満期保険金の替わりに老人ホームの入居権が給付されるといった保険商品のニーズもあるはずですが、認められていないのです。生命保険会社に現物給付が認められない理由については、レポートの中に論述させていただいきましたが、専門的になりますので解説は省略させていただきレポートを参照ください。それでは、現物サービスの付帯サービスはどうでしょうか。少し難しいですが、生命保険や医療保険に加入すると保険料を支払わなくてはなりませんが、保険金や給付金の保険の給付は万一の場合にその対価として給付されます。一方、付帯サービスは、保険料の対価ではなく保険会社の単なるサービスです。即ち、「グリコのおまけ」であり、商品の景品です。したがって、景品として提供できる限界があります。勿論、老人ホームの入居権など提供できません。その前提で各社の付帯サービスを見てみますと、多くはレジャーなどの生活関連サービスと健康関連サービスが主流です。提供できるサービスに限界があるため、結局類似したサービスになっていますが、医療保険やがん保険と親和性のある「医療相談サービス」の中には最近会社によって特長のあるサービスが出現しています。あたかも、保険の現物給付と誤解できるものまで提供されるようになって来ています。例えば、病気になったときの面談相談サービスや専門医紹介サービスです。このあたりの付帯サービスは今後注目していくべきでしょう。サービスの価格、サービスの質など見極める必要がありそうです。

第1巻第5号 RR2011VOL1NO5.pdf 2011年第1巻第5号

 

第1巻第4号の内容

  1.  各社がん保険におけるがんの定義の違いと問題点
  2.  消費者向け研究報告解説

今回のレポートは、少し長文で内容も専門的でした。しかし、がん保険の本質的問題を取り上げ保険業界内にとどまらず、消費者の方にも重要な情報が提供されています。消費者が、がん保険を選ぶ場合の指標としても、また保険を離れて「がん」という病気を理解していただくためにも参考となる情報です。更に、消費者団体の方々にも「がん保険」と言っても様々な定義が存在し、必ずしも業界統一でないことをご理解いただく契機になればと思っています。がん保険を切り口に、今回のレポートは特定疾病保険の抱える問題を提起したともいえるでしょう。3大疾病にしても、生活習慣病にしても、限定された疾病だけを保障する保険には、医学的な定義が必要になります。消費者団体の方々からは、簡単でわかり易い保険でなければならないとご指摘を受けますが、医学的な定義が必要な限りわかり易さには限界があるということをご理解いただく必要があるでしょう。これらの商品に対するニーズが高いことも事実です。わかり易さ、医学的妥当性を追及しつつ、商品へのニーズにも応える必要が、保険会社側に求められる一方、良い商品を見極めるために消費者には受身でなく自ら学習していただく姿勢も重要となってきているようです。

レポートの本文は専門的ですので、簡単に要点をまとめてみます。

1)生命保険の商品として各社からがん保険が販売されています。それぞれ商品の約款で、がんを定義しています。

2)がん保険における「がん」の定義は、販売している会社によって様々です。一部の会社の定義は、世界標準であるWHOの基準と一致していません。

3)各社が定義する「がん」には、上皮内新生物あるいは上皮内癌が含まれている場合があります。消費者に誤解や混乱を与える定義になっています。したがって、会社によって給付に差異が生じてしまっています。

4)このような差異は、業界全体で見直され、特にがんと上皮内新生物を混同させるような定義は早期に是正されるべきです。

5)会社間に差があるだけでなく、がん保険として保障される給付対象は、主治医の説明しているがんと異なる場合があります。

6)日本の医師の多くは、それぞれの部位の「癌取り扱い規約」という取り決めに従って、患者に説明しているからです。一部の規約にはWHOの定義と一致していません。

7)したがって、転移や浸潤有無を基準にがんを定義しているWHOの基準に準じた約款が理想的と考えられます。

8)浸潤や転移がなければ、腫瘍の生命予後は良好で、子宮筋腫のような良性の腫瘍の治療と同じです。浸潤や転移のない腫瘍を「がん」として定義することは、過剰な治療や患者の不安を増進させます。

WHOでは、適宜腫瘍の性状や予後を評価しなおし、部位ごとの腫瘍の良悪を見直しています。このような評価替えは、随時行われるため、がんの定義や評価は消費者がイメージしているような固定的な概念のものではありません。また、予後がよく、良性腫瘍と同じ治療をされる上皮内新生物をがんとして定義することは、消費者の誤解を助長するだけでなく、上皮内新生物をがんと思うことで生じる精神的な負担まで増大させてしまいます。これらの点を本レポートで理解していただければ、約款のがんの定義をWHOに準拠しておく必要性をご理解いただけるものと考えます。

第1巻第4号 RR2011VOL1NO4.pdf 2011年第1巻第4号

 

第1巻第3号の内容

  1.  契約前発病不担保条項と最近の約款改訂動向
  2.  風呂場の溺死に関する網羅的医学文献考証
  3.  消費者向け研究報告解説

1)研究報告「契約前発病不担保条項について」の解説

告知書に記載された情報は、加入申し込みされた方の健康状況を理解する上で重要な情報ですので、告知書の質問に回答していただくことは、保険加入のほぼ必須条件です(例外として一部に告知が不要な商品も存在しています)。告知した内容や保険会社が持っている情報で加入可否の判断がされることについては、多くの方が理解し、さらに納得されているはずです。告知書の質問に対して正確に回答しなかった場合(告知義務違反)は、契約を解除されることもあるわけです。このように告知義務は、保険会社が健康状況を判断するための中心的な制度になっています。一方、生前給付型商品(生存中に保険給付金が支払われ、受取人が被保険者自身の商品:医療保険、がん保険、介護保険、特定疾病保険、高度障害保険など)では、給付の前提となる疾病や障害が、保険の保障開始前(責任開始前)から、発病していると給付金や保険金が支払われません。このタイプの保険では、給付は「責任開始後の疾病や災害を直接の原因とする」ことが約款に記載されています。このことを専門的ですが「契約前発病不担保条項(規定)」と呼んでいます。告知の質問でだけでは漏れてしまう健康情報があるかもしれないからです。また既に発病している病気まで保障することになりますと保険料が高くなってしまいます。

このように、告知義務と契約前発病不担保条項は、保険契約に健康状況の悪い方が、入ってしまうことを未然に防ぐ役割をはたすことになります。しかし、前者については理解や納得が得られやすい制度であるのに対し、後者は、多くの消費者から理解されず、批判を浴びています。保険給付の請求段階で、告知義務違反の事実や責任開始期前に発病していた事実が判明します。告知義務違反の多くは加入申込者自身の責任ですが、責任開始前に発病していた理由で給付金をもらえないことについては、保険制度上の様々な面から指摘を受けていますが、特に批判にさらされているのは、①責任開始前発病について自分自身は知らないことがあり、自分に落ち度が無いのに給付が支払われないのは納得できない。②告知書に病気が発病していることを告知したのに、契約前発病不担保条項を理由に給付されないのは、期待感を裏切るもので信義に反する。③「病気の発病や発症」とは一体何を意味するのか、その解釈は保険会社の恣意的な運用になっていないのか。という点ですこれらの批判があることを背景に、今回のレポートでは、②③に関してある程度約款上の対応を各社が始めた点に関して紹介しているものです。このような各社の動向を論じたレポートはまだ業界内には存在していません。したがって、契約前発病不担保条項批判に対する約款対応の動向を記した記録として時代的な価値あるレポートと自負しています。

2)研究報告「風呂場の溺死に関する網羅的医学文献考証」の解説

入浴中の急死を巡って従来から死因判定と保険金・給付金を巡る問題が論争されてきた不幸な歴史があります。敢えて不幸と表現したのは、この問題に関しても約款の問題が存在しているからです。更に、公衆衛生の問題として正確な死因統計記録が日本では整備されていない問題があるからです。レポートに記載したとおり、急性死亡の原因究明は、単なる死体検案(死体および死亡場所の外観の観察だけ)、死後の画像検査、剖検(死体解剖:司法解剖、病理解剖など)の実施状況で正確さは大きく影響を受けている状況です。高齢社会の到来で入浴に関連した死亡発生が増加している中で、これらの未整備問題を放置したままでは、無駄な係争を増加させてしまいます。残念ながら、根本的な解決策が提示されない状況ですので、日本国内の過去の医学文献をほぼ全件網羅的に検証することにより、現状の死因判断の中で不公平のない保険金支払について、レポートしています。入浴に関連した急性死亡の死因判断をするうえで判断材料となる文献は、今回分析した対象の医学論文しか存在しないからです。係争の当事者は、これらの限られた資料を前提に論述するほかありません。その際に参考になる主な論点は本レポートに示しています。初めてこの問題に接する司法関係者もいらっしゃるはずですが、一から資料を参照するにしても、専門家の意見を確認するにしても、今回分析した文献的見解を超えるものではありません。その意味でも本レポートをまず参照していただけると幸いです。なお、本レポートは最近の最高裁から判決として示された見解を十分意識して分析していることを付け加えておきます。

第1巻第3号 RR2011VOL1NO3.pdf 2011年第1巻第3号

 

第1巻第2号の内容

  1.  手術約款と放射線治療給付について
  2.  引受緩和型医療保険のリスク構造
  3.  消費者向け研究報告解説

1)研究報告「手術約款と放射線治療」の解説

今や医療保険やがん保険といった商品には、入院保障と共に手術保障がセットになっていることは当たり前のように思われている方は多いでしょう。しかし、どのような手術が給付されるのか約款を理解されている方は、少ないのではないでしょうか。手術給付の概要は

  1. 昭和62年から手術給付金は生命保険会社各社で同じ手術が給付されています。
  2. 各社で統一された手術給付の約款では、87種類の手術が給付対象になっています。
  3. 87種類の手術に加えて「新生物の治療に対する放射線治療」も給付対象となっています。
  4. 最近、このように統一された手術給付約款と異なるタイプの手術給付に改訂した会社が現れはじめています。

昭和62年から改訂されていない手術給付約款は多くの問題があります。消費者の皆さんが手術を受けられ当然給付金がもらえると思っていても、保険会社から拒絶されることがあります。また約款を読んでも具体的にはどのような手術が給付されるのかわからない場合もあります。特に最近では新しい方法の手術が多数導入されるようになったからです。一方、奇異なことに放射線が手術として給付対象に加えられた不思議な約款になっていました。これは、手術の代替治療として放射線治療を行った場合に限り給付対象とした過去の経緯があったからです。手術の約款自体もよく理解されていないのですから、いずれの理由があるにせよ約款の後段の表に放射線治療が、手術と一緒に給付対象として掲載されていることはよく知られていないのは当然です。

今後各社が個別的に手術の約款を改訂し、手術給付とは分離して放射線治療を保障していく方向へ進んでいくものと考えられ

2)研究報告「引受緩和型医療保険のリスク構造」の解説

引受緩和型医療保険は健康な方には馴染みのない保険ですが、持病があって医療保険を諦めていた方々に新たな医療保険市場を開いた意味は大きいと考えられます。公的医療保険が縮小し、持病を持った高齢者が増える状況で、自助努力により医療費の一部を民間医療保険に頼る術ができたという点にも理解しておいていただきたい点です。

万一、ご自身やご家族で病気に罹ってしまったという場合にも一度検討して頂く価値はある保険ではないでしょうか。ただし、その際によく特長を理解しておいていだく必要はあるでしょう。

研究報告は、やや専門的で消費者に解説する必要性のある部分は少ないと考えますので、最低限引受緩和型医療保険を検討する際のポイントだけ確認しておきます。

  • 検討している引受緩和型商品は以下の必要条件を満たしているのか
  • 告知書だけで加入可否の判断がわかる。
  • 契約前に発病した疾病も加入後に悪化して入院しても保障される。

更に確認ポイントは、1.通常の医療保険に無条件で加入できるのか、2.一定の条件(部位不担保、疾病不担保など)で加入できるのか3.無駄な保障が付加されていないか(入院保障が必要なのに死亡保障が付加されていないか)4.複数の会社で同じ保障なら保険料がより安価な会社はどこか5.契約後の削減期間は、どれだけか

以上の点を確認し商品を選んでみましょう。その際に必ず、告知書も確認してみましょう。引受緩和型商品といっても、罹っている病気の内容によっては加入できないことがあります。告知書を見れば、加入できるのか一目瞭然ですので加入できる会社を比較してみればよいでしょう。

第1巻第2号 RR2011VOL1NO2.pdf 2011年第1巻第2号

 

第1巻第1号の内容

  1.  巻頭言
  2.  生命保険約款における不慮の事故の定義
  3.  消費者向け研究報告解説

消費者の方々にとって何故保険の約款つまり保険の契約書に「不慮の事故」の定義があるのか、ピンとこない方がほとんどでしょう。しかし、死亡や身体障害の原因が病気(内因)なのか、「不慮の事故」(外因)なのかによって保険金額あるいは給付金額が異なることがあるのです。

代表的な例は、1)災害割増特約(不慮の事故で死亡すると保険金額が増額して支払われる特約)2)傷害特約(不慮の事故で、手足を欠損したりすると給付金が支払われる特約)などになります。災害割増特約がついている生命保険では「不慮の事故」が原因で死亡された場合の保険金額が、数千万円異なることがあるわけです。勿論、損害保険では、不慮の事故が原因かどうかの判断は保険金の支払可否そのものに直結する部分です。今回は、報告書で損害保険の話は一部しか触れられていませんが、約款における「不慮の事故」の定義は生保以上に重要になるわけです。

生命保険業界では、長らく分類提要採用約款が業界統一で採用されてきました。しかし、研究報告書にも記載されているように、この方式の約款の定義にいくつかの問題が指摘され批判もされていました。当然のことながら不慮の事故の認定に関してしばしば裁判で争われる状況でした。

具体的な裁判の争点をパターンに分け以下に示してみます。

  ○急激、偶発、外来性の事故に関する解釈や保険会社の運用に対する係争

  ○内因、外因が競合する場合に発生する係争(入浴中に病気の発作で溺水)

  ○分類提要の中にある不慮の事故免責(個別的に不慮の事故の取り扱いをしない免責事例が約款に記述されている)に関する係争(医療過誤は全て不慮の事故の認定外)

などです。

また、最近ではこれらの係争について最高裁の判例が相次いで出され、約款の不備も指摘されるようになっていたわけです。したがって、生命保険会社は各社で、「不慮の事故」の定義の見直しをせまられているわけです。

研究報告では、業界に先駆けて定義の見直しを行った会社の約款を紹介しその意義を報告し、紹介した見直し約款がある意味業界へ指針を示したことになるとともに、リサーチレビューの報告書自体が業界の歴史の1ページを解説する資料として意義あるものになると考えています。

第1巻第1号 RR2011VOL1NO1.pdf 2011年第1巻第1号