第9巻第2号の内容(RESEARCH REVIEW VOL9 NO2)
遺伝子パネルの理解と保険
2019年に、遺伝子パネルという腫瘍組織の遺伝子変異を一度に複数確認する検査が、保険適用になりました。がんゲノム医療が実臨床に浸透する契機となると期待されています。実際に、がん診療の専門家の間では「がんゲノム医療元年」「がんゲノム医療の幕開け」と大きく取り上げられています。国も、がんゲノム医療を推進し、保険適用はその象徴的出来事になっています。本報告では、このようにがんゲノム医療の中心にある遺伝子パネル検査とは何かを以下のポイントについて解説しています。
1. 遺伝子パネル検査に対する国のスタンス
2. 遺伝子パネル検査の実際
3. がんゲノム医療が可能な医療機関
4. 遺伝子パネル検査とコンパニオン診断検査(CDx)の関係
5. 遺伝子パネル検査普及の与える保険への影響(検査と説明)
専門的に分かりづらい部分がありますが、今後がん医療の主役は抗がん剤や免疫療法へ変化していくと予想されています。その意味でも、遺伝子パネルとは何かを知ることは、一般消費者にとっても重要なことです。例えば、保険適用の検査と先進医療適用の検査があるけれどその関係はどうなのか、一医療機関で受けられる遺伝子パネル検査の数は、どのようなタイミングなら検査が受けられるのか、様々な疑問がありますが、本報告ではそのような点についても解説しています。
2019年第9巻第2号 RR2019VOL9NO2.pdf
第9巻第1号の内容(RESEARCH REVIEW VOL9 NO1)
再生医療の進展と民間保険商品
民間保険会社の主力商品として医療保険やがん保険は、患者の傷病時の治療費用を保障することを基本的役割として社会に受け入れられています。対象とする医学では、化学療法や免疫療法の分野では長足の進歩が見られていますが、さらに多様な新しい医療が登場し、手術、化学療法、放射線治療といった旧来の伝統的な治療法も大きく変わろうとしています。その一つに山中教授が牽引する再生医療があります。日本は再生医療を国策として推進し、再生医療の研究および産業として製造・販売できる法律が世界に先駆けて整備されました。人工臓器の臓器移植医療の普及には様々な限界が見られる中で、再生医療は新たな治療技術として、その可能性は拡大し続けています。産官学の取り組みも進展する中で、再生医療イノベーションフォーラムという産官学のコンソーシアムの解説に、再生医療を支える周辺産業に民間保険も明示されています。それは、再生医療が拡大すれば公的保険で全てを支えられない場合に、民間保険のサービスが機能すると期待されているからです。再生医療推進に合わせて改正薬事法が整備され、再生医療等製品が明確化されたことにより、民間保険が再生医療に対する商品提供の可能性も明確になりました。本報告では、具体的なサービス提供の商品における給付約款について解説しています。
2019年第9巻第1号 RR2019VOL9NO1.pdf