平成30年レポート

第8巻第2号の内容(RESEARCH REVIEW VOL8 NO2)

公認心理師制度開始と民間保険

一般の方は、心の病は精神科や心療内科で治療するのが当然と思われているでしょう。しかし、心の病のみならず、心の問題で悩まれている方のサポートをするのが心理士です。病気の治療に関連して活動するのは、臨床心理士で心理学を専攻し、心理面接や心理療法に精通しています。一般の方が入院されると分かりますが、医療費負担、社会保険や転院先アレンジなどの様々な支援をしてくれるのは、メディカルソーシャルワーカーという人達で、社会福祉士という国家資格を有しています。ところが、心の問題を支援してくれる臨床心理士の資格は、民間資格であり国家資格はありません。しかし、2017年から国家資格として公認心理師という資格ができたのです(初回の資格試験は2018年9月9日)。当面は、これまでの、臨床心理士という資格と平行して運用されますが、いずれは、医療機関などで活躍する心理学の専門家は、公認心理師になっていくと思われます。新しく出来た資格内容とその特徴の解説および民間保険における告知義務違反の判断への影響について報告しています。

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第8巻第1号の内容(RESEARCH REVIEW VOL8 NO1)

柔道整復師問題

柔道整復師およびあんまマッサージ・はり・きゅう師(略してアキハと呼ばれています)などの国家資格者を巡る問題が、現在行政で協議されています。これらの資格者が行う施術の一部は、条件に該当すれば公的保険の対象となるため、療養費(施術料)請求を巡る不正請求が発生している事実とその根底にある療養費請求(患者に代わって施術所が保険請求する受療委任制度、アキハでは代理受領制度)の制度的な問題が議論の対象になっています。また、民間保険でも柔道整復師の施術の一部は、支払い条件に該当すれば入院給付金や通院給付院が支払われる商品が提供されています。このため、標準的な施術から逸脱していると考えられるような、長期期間の施術をしたという給付請求が支払い査定で認められ、問題になっています。協議の結果、行政としては、保険請求の適正化、施術所の管理者教育、受領委任という公的保険の請求方法の見直し、長期間の施術への監視と指導強化などを目指す各種の施策が検討されています。実行されれば、公的保険の請求適正化と合わせて、民間保険にとってもよい影響を受けることが期待されています。

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